『ダイヤのA』The LIVE II

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 昨年好評であった舞台の続編。前回の物語は沢村が青道の野球部に入り、練習試合を経て一軍入りするところまで、全体から見ると、ほんの出だしの部分を描いていたが、原作のエピソードをほとんどはしょらず、注目の野球の表現もひとつの”方法”に固執することなく、舞台の上下を使ったり、あるいは映像を駆使し、野球の試合シーンを臨場感たっぷりにみせていたのが印象的であった。いよいよ、青道学園が甲子園を目指して始動する。 脚本・演出は初演に引き続き、浅沼晋太郎(bpm)。今回のストーリーは灼熱の合宿から西東京大会地区大会における明川学園との対決までを描く。 
 サイレンの音が劇場いっぱいに鳴り響く。前回もそうだったが、このサイレンは甲子園を連想する。せみの声、野球場の声援が遠くに聞こえる。円陣を組み、「俺たちは誰だ!王者、青道だ!」と叫ぶ。目指すはただひとつ、全国制覇だ。
主人公は青道の1年生・沢村栄純、先輩に対してタメ口、勉強出来ない、感情がすぐに表に出る、野球を愛する気持ちは人一倍”愛すべき困ったちゃん”。同級生の降谷暁は一見クールに見えるが、かなりの負けず嫌い、150キロの剛速球を投げる超高校生級選手だ。御幸一也は天才肌だが、飄々として歯に着せぬ発言、「友達、いない」と言われることもあるが「投手をマウンドで輝かせるためなら何だってするぜ。どんな嘘でもどんな嫌われることでもな」と言う程のキャッチャー。この3人を軸に物語は進行するが群像劇の要素が強く、どのキャラクターも魅力的なのが、この作品の特長だ。今回は映像出演のキャストもおり、”どうするのだろうか”と思ったが、映像キャラクターと生身俳優のやり取り(しかも映像キャラに生身キャラがどつかれる!)、これはちょっとしたサプライズ。
 ストーリーは原作通りに進んでいくが、山場は2幕の明川学園の”精密機械”と呼ばれる投手・楊舜臣との対決だ。日本が好きで野球が好きで日本に語学留学、好きな野球に打ち込む。クールで無愛想だが、誰よりも熱い心を持ち、監督や仲間から絶大なる信頼を得ている。しかもエースであるのに打撃投手を務め、毎日200球以上投げ込んでいるという努力家だ。彼の姿勢は他の選手にも影響を与えており、チーム全体の士気も高く、青道に大きな壁となってたちはだかる。この
楊舜臣を演じるは和田雅成。内に秘めた情熱を持つ楊舜臣をきっちり演じ、”試合”を盛り上げる。モノローグの言葉に力がこもっており、客席はその言霊に聞き入っていたのが印象的であった。ここの部分は原作でもかなりのページをさいて描かれており、舞台でもじっくりと見せている。
 前回と同じく、舞台を二段にして上下で野球の試合を見せる。野球ボールはないが、音、光、映像で表現、俳優陣は相当練習を積んだのか、ボールを追う、スチールする等の動作にさらに磨きがかかっていた。沢村栄純演じる小澤廉始め、降谷暁役の廣瀬智紀、御幸一也の和田琢磨、当たり役といっても差し支えないだろう。
 勝者がいれば敗者もいる、表舞台に出られる者もいれば、裏方に回る者もいる。野球はチームプレイ、選ばれた者は全員の想いを背負って試合に臨む。明川に勝った青道、すぐに次の試合がある。「勝ったチームは前に進むしかないんだ」というモノローグが入るが、この舞台はモノローグが効果的で、原作と舞台が観客の頭の中で交錯する。今回は明川の試合前に観劇の観客に俳優陣が青道の応援をお願いをする趣向、まず練習し、芝居が始まり、指示に従って”応援”、これがやたら楽しく、観客は大ノリで、初日公演は大きく盛り上がった。
 舞台版『ダイヤのA』は、キャスト、スタッフの”野球愛”がとにかく大きい。原作の魅力もさることながら、そういった
舞台に関わっている全ての人達の原作愛を強く感じる。野球はチームプレイ、チームメイト同士、信頼し合わなければいいチームにはならない。そういった普遍的なメッセージ、もちろん原作の面白さ、ちょっとした台詞もきちんと入り、客席からは笑い声も。満席の初日、続編を期待せずにいられないエンディング、観客に末永く愛されるシリーズになる予感がする。

<出演>
小澤廉/廣瀬智紀/和田琢磨 和田雅成
深澤大河/葉山昴/高橋良輔/上田悠介/水沼天孝/NAO-G/汐崎アイル
中島大地/章平/青峰佑樹/澤田拓郎
※峰役/三枝奈都紀/※金丸役/田尻浩章
加藤靖久/遠藤沙季/藤田慶輔
遠藤ゆりか/加島碧/志藤彩那/陽向あゆみ
<映像出演> 椎名鯛造/和田亮一

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[公演データ]
『ダイヤのA』The LIVE II
東京公演:2016年3月14日~3月21日
天王洲・銀河劇場
名古屋公演:2016年3月24日
名古屋文理大学文化フォーラム大ホール
大阪公演:2016年4月1日〜4月3日
森ノ宮ピロティホール

『ダイヤのA The LIVE Ⅱ』Blu-ray/DVD 発売決定
2016年8月3日
Blu-ray 9,800円(税抜)/DVD 8,800円(税抜)
本編1枚、特典1枚 計2枚組
http://officeendless.com/sp/diaace_live/

©寺嶋裕二・講談社/「ダイヤの A」The LIVE 製作委員会

取材・文/高浩美

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