ミュージカル『ハートの国のアリス~The Best Revival~』

『ハートの国のアリス』の舞台化。2007年2月14日にQuinRoseから発売されたパソコン用恋愛アドベンチャーゲームだ。
『不思議の国のアリス』をモチーフにした乙女ゲーム作品シリーズの第1作目である。マンガ、小説、アニメ映画、ドラマCDとマルチ展開しているコンテンツだ。
 よく知られているキャラクター・アリスが主人公。”本家”の物語、アリスはうさぎを追いかけて不思議の国に迷い込み冒険をする。この名作をモチーフにしたゲーム、古くは1984年のマイクロキャビンの『不思議の国のアリス』、ナムコの『メルヘンメイズ』(1988年)、フェイスの『不思議の国のアリス』等、かなりのゲームが発売された。そして、この『ハートの国のアリス』である。基本的に女性向けのゲームなので、おなじみの帽子屋、チェシャ猫、三日月ウサギ等、皆イケメンキャラに。その上、本家の『不思議の国のアリス』よりさらにシュール。昼寝をしていたアリスはペーター・ホワイトによって不思議な国、ハートの国に連れられてしまう。住人は皆、何かしら武器を携帯、すぐに銃撃戦にあるというなんとも物騒。しかもおも立った登場人物は皆、すぐに乱闘騒ぎを起こす、殺し合いをする……。それに領地争いもしており、帽子屋(マフィア)・ハートの女王・遊園地が対立、もう”戦国時代”な不思議、かつ危険きわまりない世界。ペーターからハートの小瓶に入った謎の薬を飲まされて、元の世界に帰れなくなってしまうアリス。ゲームのルールに従い、行動を開始する、というかするしかない、という状況。ハートの国の住人と交流するうちにある感情が起こる。それは果たして……、というものだ。
 今回は2015年の再演作品。恋愛、冒険、コンプレックス等いくつかの要素が詰まっている。7人のキャラクターが登場し、皆、アリスに恋する。そんな彼らが”ありがた迷惑”、しかし次第に彼らの性根に惹かれていくが、なかなか誰かを選べない。しかもこの奇妙な国を早く脱出したいと思っていたのだが、だんだん愛着がわき、離れ難くなってくる。そんな様子をアリス役を初演からやっている松本が好演。そしてラストの舞踏会がポイント。ここでアリスの手を取った者がアリスと結ばれる、これが7通りという訳である。ゲームと同じく、であるが、このミュージカルの歌いだしも”ゲームのルール”と歌う。ゲーム原作でしょっぱなから”ゲームです”と歌うのは基本的にないこと。ゲーム原作ミュージカルで”これはゲーム♪”と歌うのは、”ゲームinゲーム”状態、こういった設定はひねりが効いて面白い。ゲーム原作の舞台化が多い演出家の手腕なのだろう、マンガやアニメと違ってゲームは勝ち負けで演劇にはなりにくいからこそ、果敢に”攻める”。マルチエンディングを採用しているが、これがなかなか難しい。キャラクターの数だけの結末、その分岐点からルートを変える時に違和感があってはいけないのだ。また、楽曲の入り方等も前回よりこなれていて、作品自体がパワーアップした印象になっていた。7通りのエンディングで、ここは新曲で前回と変化をつけての結末、萌え台詞もふんだんに盛り込まれ、恋愛が全面に押し出された印象となっていた。

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QuinRose/ミュージカル「ハートの国のアリス」再演製作委員会

[公演データ]
ミュージカル『ハートの国のアリス~The Best Revival~』
2016 年 1 月 16 日~1月24 日 全労済ホール スペースゼロ
http://www.musical-hatoari.com

[DVD情報]
ミュージカル『ハートの国のアリス』 DVD Blu-ray 好評発売中
7つのマルチエンディング収録!
※初演バージョン

取材・文/高 浩美

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