【3.0レポート】『ブラックコメディ』

ブラックコメディ

『ブラックコメディ』

2016年6月に逝去したイギリスの劇作家、ピーター・シェーファー、日本でもおなじみ、映画化された『アマデウス』はかなり知られた作品であるが、その他にも『エクウス(馬)』等の秀作がある。今、劇団四季の自由劇場で上演されているのは『ブラックコメディ』、いわゆるスラップスティックコメディと呼ばれるジャンルのコメディである。これは、観客を笑わせることに主眼を置いたもので、古くはチャールズ・チャップリンの映画等が有名だ。
スラップスティックとは先が2つに割れる棒で、日本ではハリセンのようなもの。これが転じて舞台喜劇のドタバタ芸をさすようになり、さらに動きの多いコメディをそう呼ぶようになった。
さて、この『ブラックコメディ』、若い彫刻家が美術コレクターの大富豪とフィアンセの父親を迎えることになり、その大事な、大事な夜になんと停電が起こる。勘の良い観客なら、これから何が起こるか、なんとなく推測可能であるが、この【停電】がポイントだ。舞台上は電気がついているシーンは暗く、停電のシーンになると照明がついて明るくなる。つまり「明暗逆転」の手法を用いている。この停電中の大パニックを観客はしっかりと観れる訳である。さて、停電になっただけでもパニックの主人公、さらに来ちゃ困る人物もやってくる。それは……元恋人!それはまずい!ありえない展開に主人公はさらなるパニックに陥る、という流れだ。停電で右往左往するキャスト、元恋人がきては、もうおしまいだ〜とばかりに焦りまくり、それを隠したい主人公、彼らの一挙一動が、翻弄される姿が、もう可笑し過ぎる!で観客は爆笑につぐ爆笑に陥る。
で、結局どうなることになるのか……もちろん勘が働く目の肥えた観客はわかってしまうが、それでも面白いのが、この戯曲の優れたところ。人間の本質も見せて、さらに視覚的にも楽しませる。この計算された笑いは稽古を積まないと到底、出来ない。しかも、段取りだけで動いてしまうとしらけてしまうので、ここは俳優の腕のみせどころだ。
作品自体は1965年のロンドンで初演され、その後はパリやニューヨーク等で上演された。日本では劇団四季が1970年と早い段階で上演、2006年に自由劇場で36年ぶりの再演を果たし、2008年までに東京の他、福岡・名古屋・京都で上演された。今回は久々の上演となる。劇団四季以外では萩本欽一演出で、主演に野口五郎を迎えて上演した。初演から数えるとかなり古いが、それでも斬新に感じるのは、優れた戯曲だからに他ならない。

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