セヴィリアの理髪師の結婚

OPERA『セヴィリアの理髪師の結婚』
構成・演出の田尾下 哲さん特別コメント到着!

有名なオペラ「セヴィリアの理髪師」と「フィガロの結婚」、前者はロッシーニ、後者はモーツァルトであるが、両作品ともボーマルシェの戯曲。“欲張りにもほどがある!”企画、2つの作品を合わせてしまった『セヴィリアの理髪師の結婚』、企画の発端や昨年の手応え等を構成・演出の田尾下 哲さんに伺ってみた。

セヴィリアの理髪師の結婚

「2016年初演より」

--そもそも、「セヴィリアの理髪師」と「フィガロの結婚」を合わせてみようと思ったきっかけはなんでしょうか?

田尾下:オペラに取り組む際には、原作があれば原作から作品を調べることにしています。両作品ともボーマルシェの戯曲が原作であるのに、オペラ作品としてはキャラクターは共通していても声種・声の高さが違いますし、『セヴィリアの理髪師』では熱烈な愛を誓い合った伯爵夫妻が『フィガロの結婚』では倦怠期のような印象です。原作からはそれがたった三年の間の出来事であると分かるのですが。それらの描き分けがモーツァルトとロッシーニの魅力であるのですが、この二つの名作を一連の物語として舞台に出来たら良いだろうな、と漠然と思っていました。企画書も用意していつかやりたいなとは思っていましたが、実際に行動するまでは随分と時間がかかりましたが、演出、台本の家田淳さんとその話をしていて、一緒にやってくれることになり、プロジェクトが立ち上がりました。家田さんが演出だけでなく、ボーマルシェの原作から会話を抜き出し、台本を書いてくれています。実際に昨年初演で二作品を混ぜて演奏することで、モーツァルトとロッシーニの音楽性の違いを改めて強く感じました。私は二人とも大好きな作曲ですが、特にモーツァルトの新しさ、を実感、いえ、体感できた…と思っています。

--「セヴィリアの理髪師」はロッシーニ、「フィガロの結婚」はモーツアルトで作曲家が異なります。例えば、同じ人物(キャラクター)でも楽曲(声種)が全く異なります。そこが難しかったと思うのですが。 そこは、どう“クリアー”したのでしょうか?

田尾下:初演時には両作品でフィガロ、伯爵夫人(ロジーナ)の声種は異なりますが、是非同じ人にやって欲しくてそれが出来る方にオファーをしました。声の負担は小さくないのですが、音楽(調性)を変えることなく歌い、演じて下さったので、三年の変化が一人の歌手によって一層理解出来るようになったと思います。バルトロは同じ低声の役ではありますが、歌唱スタイルが全く違うのに実に達者に演じて下さいました。一方で伯爵とバジリオはテノール(高声)とバリトンまたはバス(低声)で書かれていて、同じ人が歌うのは声楽的に無理です。ですが、三年で別人のように変わった伯爵を、ロジーナと婚約するまでの情熱に満ちたテノール、ロジーナを手に入れた後それに飽き足らずに浮気を目論むしたたかなバリトン、という描き方をしてもらいました。二人が作品をまたいで入れ替わる時の見せ方には試行錯誤しました。今年の公演では構成が変わりますので、またそこに挑みたいと思っています。バジリオは、ゴシップ好きであることを逆手にとって、一つのキャラクターを常に二人が一緒にいて演じる事で表現しました。バジリオン“ズ”と私たちが呼んでいるのは、そういう意図なのです。いずれにせよ、私たちのアイデアも大切ですが、何よりも実際に演じる歌手の方々の声楽的な困難を乗り越える高い能力、献身、そして演じ慣れた役を二作品同時に演じてしまう遊び心あってこそ、のプロジェクトだと感謝しています。

--初演の手応えを教えてください。

田尾下:重複しますが、二作品を同時に上演することを頭で描いてはいましたが、実際にやってみて、二人の作曲家の違いがより一層理解出来るようになりました。また、実際に稽古をしていて、たった三年でここまで変わるんだ…とか、その三年の間に何をしていたか…などの勉強会もしての公演でした。その私たちの体験した発見、充実や喜びをお客様に伝えたい!という思いで公演をさせていただき、実際にオペラとして二作品を同時に上演することが出来、反応もいただいて本当にやって良かったな、と思いました。そして、次にやる時にはここのシーンは取り入れた方が良いのではないかなど、終演後にも出演者との話は弾み、普遍的な名作を再構築する喜びを強く感じました。

セヴィリアの理髪師の結婚

「2016年初演より」

--再演に向けて「ここを観て欲しい」というポイントは?

田尾下:初演で作り上げたヴァージョンも観劇してもらった根本卓也さんを音楽監督として招き、構成から話し合いをさせてもらいました。前回の良いところは引き継ぎながらも、改めて二作品を再構築するに、物語としてだけでなく音楽的な視点からも見直したため、初演とはかなり構成が変わっています。新たな『セヴィリアの理髪師の結婚2017』の取り組みが今から楽しみですし、稽古場で探るところも少なくないと思います。そして、初演に引き続き出演していただく歌手の皆さんに、新たに加わった歌手の皆さんがまた素晴らしく、感激しています。モーツァルトとロッシーニ、そして歌手の魅力をこの作品を通じて再発見してもらえたら、と思っています。

--決まり質問です、公演PRをお願いいたします。

田尾下:三時間、二時間かかる二つのオペラ作品を、一つの作品にして二時間ちょっとで上演するにはカットせざるを得ない場面も少なくありません。ですが、ただ二つの作品を同時に上演するのではなく、原作であるボーマルシェの戯曲を踏まえて再構成することで新しい物語上の発見があるはずです。『セヴィリアの理髪師の結婚』をご覧になって、改めて『セヴィリアの理髪師』、『フィガロの結婚』の全曲を見たいな、と思っていただける作品となるようにこの夏も情熱を傾けてカンパニー一同取り組みます。どうか、是非見にいらしてください!

--ありがとうございました。公演を楽しみにしています。

田尾下哲

田尾下哲(たおした・てつ)

1972年兵庫生まれ、横浜育ち。第20回五島記念文化賞オペラ新人賞受賞。
ドイツ人演出家ミヒャエル・ハンペに西洋演劇、演出を学ぶ。2000年から演出家として活動。03年から09年まで新国立劇場に所属し、オペラ・チーフ演出スタッフを務めた。
09年、チューリヒ歌劇場『カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師』で、共同演出・振付を担当しヨーロッパデビュー。
近年の演出作は、神奈川県民ホール『金閣寺』、あいちトリエンナーレ『蝶々夫人』、ホリプロ『天才執事ジーヴス』、平幹二朗主演『王女メディア』、自作『プライヴェート・リハーサル』/『ベアトリーチェ・チェンチの肖像』、日生劇場『三銃士』/『後宮からの逃走』など。
今後もオペラ、ミュージカル、芝居の演出が控えている。

セヴィリアの理髪師の結婚

「2016年初演より」

【公演データ】

タイトル: OPERA「セヴィリアの理髪師の結婚」
日 時: 2017年 8月26日(土)18:00
8月27日(日)16:30(全2回公演)
会 場: イタリア文化会館 アニェッリホール(東京都千代田区九段南2-1-30)
構成・演出: 田尾下 哲/家田 淳
台 本: 家田淳
音楽監督: 根本卓也
作 曲: ジョアキーノ・ロッシーニ/ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
歌 詞: チェーザレ・ステルビーニ/ロレンツォ・ダ・ポンテ
原 作: ピエール・オギュスタン・ボーマルシェ

[キャスト&演奏]※Wキャスト
フィガロ: 大沼徹/村松恒矢
スザンナ: 田川聡美/今野沙知恵
伯爵(セヴィリア): 糸賀修平/山本康寛
伯爵(フィガロ): 黒田博/与那城敬
伯爵夫人: 醍醐園佳/嘉目真木子
ケルビーノ: 郷家暁子/青木エマ
バルトロ: 三戸大久(両公演出演)
マルチェリーナ: 林よう子/磯地美樹
バジリオ: 森雅史・升島唯博(両公演出演)
ピアノ: 高田絢子/矢崎貴子
合唱: 和泉聰子・大澤遥・小藤恵理子・冨岡由理弥・林道代・古家未希・舛田慶子
※やむを得ない事情により、出演者等が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

[チケット&お問合せ]
チケット: 前売/4,500円 当日/5,000円 学生/3,500円(全席自由)
申込み: 希望者は氏名、日時、枚数をご記入の上、下記までメールをお送りください。
figaro@noteweb.jp

お問合せ: 03-6419-7302(ノート株式会社内/平日10:00~18:00)
Web: http://tttc.jp
Facebook: https://www.facebook.com/tetsutaoshita.tc/
twitter: https://twitter.com/TetsuTaoshitaTC

主 催: 田尾下哲シアターカンパニー/TETSU TAOSHITA THEATER COMPANY
後 援: イタリア文化会館
協 賛: 株式会社オレンジ
助 成: 公益財団法人 朝日新聞文化財団
アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)

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