【レポート】舞台『ノラガミー神と願いー』

ノラガミ

舞台『ノラガミー神と願いー』

あだちとか原作の人気コミック『ノラガミ』が待望の舞台化、である。今回は原作のストーリーではなく、舞台のためのオリジナルストーリーである。登場するのは日本の神や妖(あやかし)。2011年より『月刊少年マガジン』で連載中で2014年と2015年にはアニメ化されている。
日本の神は『八百万の神』と言われるように多くの神がいる。自然の中に神が宿っている、という考え方に基づいており、いわゆる多神教。「八百万」は無限に近い神がいることを示唆している。また、神道においては、恨みを残してこの世を去った、あるいは歴史に名を残すような功績を上げた人物を”神”として祀った例は多く、例えば菅原道真を祀る天満宮は亡くなった人物を神として扱っているわかりやすい事例と言えよう。また妖怪は古くは『古事記』や『日本書記』に、その後の平安時代には『日本霊異記』や「今昔物語集』等に妖怪にまつわる話が複数載せられている。この時点ではまだ”文字”だけであったが中世に入ると絵巻物や御伽草子等で、具体的な姿が描かれるようになり、少しずつ娯楽の対象になり始め、江戸時代後期になるとかるたやすごろく等にも使われ始める。つまり、一種のキャラクター化である。こういった神、妖怪等日本古来の”架空の存在”が時代が進むにつれてキャラクター化し、現代ではマンガやアニメの題材となっている。有名なところでは『ゲゲゲの鬼太郎』、そしてこの『ノラガミ』もまた、毘沙門天や恵比寿、妖等が登場する。そういう視点から捉えると最も日本的なコミックのひとつと考えられるのである。

舞台版はオリジナルストーリー。オープニングは原作がわからない人でも世界観や神関係(?)が理解しやすいような導入があり、それからオープニング。プロジェクションマッピングを使用し、背景や”技”を表現する。注目の妖だが、これはアンサンブル陣と映像のコラボでアニメや原作よりいきいきと、立体的に見せる。ここは舞台ならではの表現だ。アンサンブル陣の卓越したアクロバティックな動きが見応えあり。キャラクターも皆、特徴をよく捉えており、原作ファン納得の出来映えで、囲み会見ではキャスト陣が作品愛を語っていたが、『ノラガミ』好きが伝わってくる。ひより役の長谷川かすみは「大きな舞台は初めて」と会見で語っていたが、夜ト役の鈴木拡樹始めベテラン勢を相手に臆することなく演じていたのが印象的だ。雪音役の植田は会見でアニメ放送時からのファンと語り、「雪音を舞台でやるなら自分」と思ってたと語るように、雪音そのもの感で鈴木演じる夜トと対峙する。毘沙門の安藤彩華のちょっと”女王”っぽい感じが役に合っており、そばにいる兆麻役の和田琢磨、メガネキャラを演じたら右に出る者はいないくらいのはまりっぷり。友常勇気演じる大黒の”どすこい”な雰囲気、キャピキャピな小福役の糸原美波等絶妙なキャスティングだ。
物語は崎山つばさ演じる青年・優流がミュージカル(しかも時代劇)オーディションを受けるために刀さばきの稽古をしたいということで”デリバリーゴッド”の夜トに連絡したのが発端だ。優流のために稽古をつける夜ト、雪音も交えての3人の空気に独特のものを感じる。神器である雪音、依頼人の優流、ここの関係性がポイントだ。ある日、優流は「二次審査に合格したい」と言い出す、しかも稽古でスキルを上げて、ではなく……。人間は誰しも楽に何かを得ようとする、わかっているはずなのに”苦しい時の神頼み”の他力本願、優流も例外なく「誰かを落としてくれ」「ヒーローになりたい」と言い出す。「それは違う」と諭す夜トに「神様なんだから」、とわがままを言い出し、逆ギレ状態に。そんな”心の弱さ”につけこむかのように妖が忍び寄る。大立ち回りは見どころ、毘沙門天や兆麻らもやってきて賑やかなアクション、『ノラガミ』らしい場面だ。また、原作、アニメを観ているファンなら頷ける夜トと雪音の言い合いや毘沙門天&兆麻のやり取り、小福&大黒の仲良しっぷりは単純に笑える。夜トの妙におちゃらけな仕草、ここは芸達者・鈴木の真骨頂だ。優流はごく普通の青年、誰もが持っている欲望や希望、時にはそのためには手段選ばずな行動を取りたくなる。オーソドックスで奇をてらわない演出、楽曲はアニメと同じものを使用、ここもファンには嬉しいポイントでテンションが上がる。夜トとひよりの関係は相変わらず温かい。そして雪音を気遣う夜ト、なんだかんだ夜トが好きな雪音、周囲の毘沙門天らも本当は夜トが好き。公演期間が短いのが唯一、残念。
舞台『ノラガミー神と願いー』

2016年1月28日~1月31日 AiiA 2.5 Theater Tokyo
http://noragami-stage.net
※2016年5月27日、DVD発売決定!
価格:8748円(税込み)
本編Discは舞台映像、特典Discはキャストバックヤード映像(仮)

 
ノラガミノラガミ

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ノラガミノラガミ

ノラガミノラガミ

ノラガミ

©あだちとか・講談社/舞台「ノラガミ」製作委員会2016

取材・文/高浩美

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