【コラム】連載第179回 高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評

おそ松さん

【コラム】連載第179回 高浩美のアニメ・マンガ×ステージ評

 10月の話題作はアニメがメガヒットした『おそ松さん』の舞台版、舞台「おそ松さん on STAGE~SIX MEN’S SHOW TIME~」であろう。制作発表会の会見から話題作り、居酒屋で足を投げ出して座るキャスト、誰かがしゃべっているのにそこに誰かがツッコミを入れる、という異例なスタイル。ゲネプロ開始前の会見も、スタイルにこだわらないもので、『おそ松さん』らしい雰囲気。肝心の芝居は、あのアニメのオープニングテーマ曲を舞台のオープニングでも使用、舞台版オリジナルストーリーでの“おそ松たちの1日”、おなじみのキャラクター、イヤミやチビ太、トト子ちゃん、そしてF6も登場しての賑やかな舞台、特に劇中劇の面白さ(新撰組)、トト子ちゃんとF6の“妄想”シーン等、客席は大笑い。舞台で生身の俳優が真剣にあの世界観を演じれば演じるほどに増幅する面白さとパワー、映像も使用するものの、基本は俳優の作品への入れこみ具合。超人気作の舞台化は、かなりのプレッシャーを感じたことであろう。

おそ松さん

酒井蘭(トト子)

 実は公演が始まる前から“舞台”は始まっている。会見の様子は写真や動画でアップされ、チケットを購入した観客は期待感が高まる。そして劇場に足を運ぶ。さらに千秋楽の興奮冷めない1週間後という超異例の早さでdTVでの配信が始まった。チケットが取れなかった、関心はあったもののチケット購入までいたらなかったファンに、舞台の面白さ、楽しさを伝える。これだけの作品なら、コアなファンだけでもチケットは完売出来る。しかし、そこにとどまらずに間口を広げて舞台というもの、演劇というものを伝える姿勢を感じる。ライブエンターテイメントはそこに行かなければ体験出来ないが、こういった形での疑似体験は可能だ。千秋楽のライブビューイングにとどまらず、さらに作品を、コンテンツを拡大させる。一時のブームに終わらせない硬派な姿勢が見える作品だ。

おそ松さん

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