【インタビュー】『Take me out』演出家・藤田俊太郎 特別コメント

藤田俊太郎

『Take me out』演出家・藤田俊太郎 特別コメント

『Take me out』は2003年にトニー賞に輝いた傑作コメディ。気鋭の演出家である藤田俊太郎が、この作品に挑戦する。この話題作の見どころや面白さを存分にコメントして頂いた。

--2003年にトニー賞を受賞した作品ですが、架空のメジャーリーグのロッカールームが物語の舞台となっています。この作品を知った時の感想をお聞かせください。

藤田:初めて戯曲を読んだ時、現代の世界の状況、在り方を描いた内容に衝撃を受けました。様々な人種、同性愛、格差、信仰、差別。今を生きる私たちの身の回りにある出来事を「ロッカールーム」に閉じ込めたような悲劇でありストレートプレイ。それは同時に喜劇、コメディでもある。「ロッカールーム」は開放的でありながら閉鎖的な場所。大笑いしながら、大泣きして一気に物語を読みました。一読して、いつか演出したいと強く思っていました。

--劇場の客席もちょっと変わった趣向のようですが、上演するにあたっての演出のポイント等、ネタバレにならない程度にお願いいたします。

藤田:舞台がセンターステージ、客席は対面式にしました。
その理由は野球の臨場感を出したいから。今年の8月にメジャーリーグの試合を観にニューヨーク、ヤンキースタジアムにいきました。スタジアムで野球を観戦すると、プレイする選手の向こう側に必ず観客がいる、その臨場感を劇場ごと舞台化しようと思いました。作品の主な場面設定はグラウンド、ロッカールーム、シャワールーム。対面式にしたことで、グラウンドの臨場感だけでなくロッカールームにいるような、舞台と客席の一体感を感じていただけることも演出の狙いです。シャワーシーンでは舞台上に本水が降り注ぎます。

--大勢のキャストさんがいらっしゃいます。この作品におけるキャストさんの魅力や持ち味等お聞かせください。

藤田:せっかくなので全員の役柄と魅力を伝えさせてください。

良知真次さん。
チームの会計士。作品全体の語り部、お客様に一番近い「観客」役でもあります。難しい役どころを、軽やかに鮮やかに演じています。

栗原類さん。
アメリカ南部出身白人、リリーフエース役。傷だらけになりながら瑞々しくリアルに溢れる生命力を表現しています。

多和田秀弥さん。
アメリカ人、白人。綺麗な表情の裏にある強い意志。彼の役柄に2016年のアメリカの多くの民衆の姿が重なります。

味方良介さん
アメリカ人。ショートストップ。チームを引っ張る存在で、作品の中でもう一人の語り部。実直に軽妙な佇まいに演劇力が宿ります。

小柳心さん
アメリカ人。キャッチャー。作品の喜劇性を支える方。毎日違うアプローチで芝居をしている知性がとても素敵です。

渋谷謙人さん
人種の多様性の象徴と言える、メジャーリーグの中のドミニカ人役。率先してロッカールームの空気感を、カンパニーを引っ張りながらつくっています。

Spiさん
カンパニーの中で唯一相手チームの選手役。台詞の分析、美しい体格、演技者として素晴らしいスタイルを持っています。

章平さん
白人と黒人のハーフ。大リーグのスター選手役。甲子園に出場した高校球児だっただけあって、役に込めるリアルが、とてもとても、格好良いです。はやく彼の演技を皆さんに観ていただきたいです。

吉田健悟さん
ドミニカ出身。作品のコントラストをつくる、ぎらりとした存在感。恐ろしさと爽やかさを自在に行き来しながら演じています。

竪山隼太さん
日本人。エースピッチャー。彼にしか見つけられない役の独自性を発見した時、稽古場は大いに盛り上がり、輝きました。

田中茂弘さん
チームの監督役。作品全体の大人な部分、父なるものを余すところなく見事に表現しています。

--決まり質問で恐縮です、”観に来てくださる”お客様に向けてPRを!

藤田:『Take me out』を御覧になる「観客」の皆様。
公演に向けて、稽古場では俳優同士が時に激しくぶつかり合い、そして笑い合いながら稽古を進めています。大リーグのスター選手がゲイであることを告白することから始まるこの作品のテーマは、さらけ出すということ。私自身今まで演劇に関わってきた全てをぶつけて演出しています。稽古する過程も観てもらおうと、12月1日〜4日までは稽古場にて公開稽古を行ってきました。キャストスタッフ文字通り全員野球で「剥き出し」を演じながら「リアルをさらけ出して」取り組んだ作品、楽しんでいただけたらと思います。

--ありがとうございました。公演、楽しみにしております!

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